登場人物:スクルピア・ティディー・ルフス・ロロゥト


家にいても暇なので散歩をしていた途中、宛名の無い手紙が届いた。
手紙を持ってきたティディーに聞くと、モノトーン色のカービィがオレの家に届けるよう指定したらしい。
オレにはそんなやつ思い当たらないので、ロロゥトの知り合いだろう。
生憎、あいつは旅をしているので聞くことは出来ない。
「宛名無いし、とりあえず見てみたら?」
少しためらったが、宛名を書かなかったやつが悪い。彼の言う通り見てしまおう。
封を開けると、中から黒地に白色で文字が書かれた紙が一枚出てきた。
何かおぞましい物かと思ったのだがそうでもなく、近々会いに行くと書かれていただけだった。
もう一度確認したが、封筒の中にはもう何も無い。
"近々会いに"といっても、あいつの知り合いがオレの家を知っているとは思えない。
何より、ルケッタ以外の知り合いを聞いた事が無い。

不意に、オレの後ろを見たティディーが声を上げた。
何も聞かずに振り向くとそこには、モノトーン色のカービィが浮いていたのだ。
「アーララ?ロロゥト君いないノカ」
耳に残るほどの奇妙な声。そいつは大きな鎌を撫でながら、非対称の真っ赤な瞳でこちらを見ている。
モノトーン色のカービィはルフスと名乗り、いきなりオレを『美味しそう』と言ってきた。
なんの事だか分からないが、食っても毒にやられること話す。だが、違うとのこと。
「ソノ活力に満ちタ魂ガ、美味シそウナんダヨ!」
奇妙な声がより一層強くなり、同時に持っていた鎌を振り下ろしてきた。
間一髪で回避したものの、次々と繰り出してくるので避けるのに精一杯だ。
これではコピー能力が使えない。それどころか、隙を見せた瞬間にやられてしまう。
打つ手を考えていると、慌てながらもティディーがルフスに体当たりをした。
お陰様でコピー能力を使う事が出来たのだが、彼に矛先を変えられると厄介になる。
すぐに指示を出し、ティディーを逃がした。のちに、ルフスが体勢を立て直し終えていた。
襲われる前に質問をしたが、何を聞いてもはぐらかされてしまう。
一つだけ、どうやって来たのかは答えてくれた。ティディーの後を気付かれないよう付いて来た、とのこと。
会話が終わり次第また襲ってきたが、今はソードをコピーしている。
真っ二つにされかけたので受け流した途端、頑丈とはいえ不安になる鈍い音がした。
「コピー能力なんテ解除すりゃア、こっちノモノサ!」
間違いない。やつは、無理にでも剣を壊して解除させる気だ。
仮にされてしまっても、帽子に入っているので何度でも使える。しかし、コピーする隙を作れるだろうか?
兎に角、今は考えてもキリが無い。受け流しているとはいえ、既に剣が壊れてきている。
一旦身を引くために距離をとったのだが、一番してはいけなかったかもしれない。
ルフスは柄と刃を分裂し、オレに目掛けて飛ばしてきたのだ。
まだマシだろうと思い、尻尾に剣を変換させて飛んでくる刃を叩きつける。
一難は去ったがそれも束の間。やつが迫ってきていたのが分からず、柄の方で殴り飛ばされた。
追撃される前に先手を打とうと思ったが、足を強打されて立つ事すらままならない。
とうとう目の前まで来たルフスは、奇妙に笑いながらオレを見る。
「手間かけるネェ。ジャ、そろソロいただき…」
言葉はそこで途切れ、やつは小さく悲鳴を上げた。
見たことのある矢に当たっていたのだ。
これほどまで助かったと思えるのは初めてだろう。
「こんな奴にやられるとはな。腕が落ちたんじゃないのか?」
相変わらずな嘲笑いよう。いつもなら反論するが、今はそんな元気も無い。
本来の標的がやって来たため、ルフスはそちらへ向かって行く。
しかし、いくら遠距離攻撃が出来るといっても多大な量の矢には無力だ。やつは呆気なくやられてしまった。
また来るような事を言い去って行ったが、願わくば二度と来ないでほしい。

ロロゥトに背負われて帰る途中、ミラーのコピー能力は入れておくように言われた。
「丁度持っていたからミックスできて助かったが、無かったら今頃お陀仏だろうな」
聞くと、あいつは死神界から永久追放された死神らしい。
生きた人の魂が好物で、美味しそうであれば引っ切り無しに襲うようだ。
次はいつ来るか分からない。早いうちにミラーの調達をしておこう。
もし来た時には、返り討ちにしてやる。


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